散歩道 10月11日号掲載

のっけから小難しい引用文で申し訳ないけれども…▼(財務省のホームページより転載)「特集消費税軽減税率制度、インボイス制度が実施されます!」=主税局税制第二課課長補佐加藤博之=消費税「軽減税率制度」は、消費税率10%への引上げに伴う低所得者への配慮の策として、飲食料品と一定の新聞の譲渡を対象に2019年10月より実施され、「軽減税率制度」の実施から4年後の2023年10月からは複数税率に対応した仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)」が導入されることになります――▼実は、この「インボイス制度」とやらは、恥ずかしいことに全く知らなかったのだが、ニュースにもならず、告知宣伝もほとんどされないままに、裏で“秘かに”進められていたらしい。売り上げが1000万以下の今まで「免税業者」とされていた小規模・零細の自営業者…つまりその辺の商店や食堂、飲み屋やスナック、理・美容室、1人親方やデザイナーなどフリーランスの人々が対象になる話だ…▼「インボイス」というのは、その商品が幾らで“税”が幾らかを証明する書類。簡単にいえば「レシート」みたいなもの。しかし、このインボイスは「課税業者」の登録番号がないと発行できないというのだ▼課税業者になれば複雑な記帳・経理の事務仕事をしなければいけなくなるほか、消費税をインボイスによって計上する一般の会社と取引できなくなる可能性が高まる。なぜなら、インボイスがないとその会社が消費税をかぶってしまうことになるからだ。早い話、経理の事務を必死にこなし消費税を払う「課税業者」になるか、事業を縮小するなど見直すか廃業するかが、いま突きつけられている…▼1人で何とか商売して生きる道まで、この国は閉ざそうとしている。そこには、安く使い捨てできる非正規労働者を増やしてきたのと同じ、弱者には血も涙もない“冷酷”な国家、官僚の本当の姿が見えてくる。