学校用のイス・机などを製造する家具メーカー、㈱イチムラ（工栄町２２―１）は、江別市が昨春から導入したスタンドアップ・ミーティング（立ち会議）で利用できる昇降式の長机を開発した。同市職員らによる試験運用を経て、そこで出た意見を取り入れながら、およそ１年かけて完成に漕ぎつけた。「江別モデルの会議用机として各自治体に提案していきたい」と意気込んでいる。
　２０１７年に「健康都市宣言」を掲げた江別市では、職員の健康増進と、会議時間の短縮を狙い、各部署で立ち会議を試行している。
　併せて、地場産業の振興を目的に、創業６０年を超えるイチムラに立ち会議用机の開発を打診。市役所内に若手を中心としたワーキングチームを作り、試作品を運用しながら、様々な意見を同社にフィードバックして、開発を進めてきた。
　一昨年の胆振東部地震の際、自衛隊や警察など複数の機関との立ち会議が頻繁に行われた経験から、「健康」に加えて、「災害」時にも活用できることをコンセプトに盛り込んだ。
　完成したテーブルは、天板の大きさが７５０×１８００ミリ。２台、３台と並べて大判の地図を開き、マグネットで固定することもできる。表面にはホワイトボードとして使用できる特殊なシートが貼られている。天板裏には、地形図バインダーなど大判の資料が収納可能なラックを設けた。天板の高さは電動で７１０～１３００ミリまで無段階で昇降できる。天板の縁には木材をワンポイントで使い、見た目の温かさをプラス。会議やプレゼン発表などで残時間が分かるアラーム付きのタイマーも設置した。
　計４回に分けて、改良タイプを同市に納品したイチムラ設計部商品企画室チームリーダーの太田昌宏さんは「実際のユーザーの意見を取り入れながらの商品開発は、メーカーのセオリーにはない発見もあった。よい製品ができたと思う」と自信をにじませる。
　「Ｅ―ｍｏｄｅｌテーブル」と名付け、イチムラの新製品として今後、江別市以外の各自治体や企業などに売り込んでいく計画。
　問／㈱イチムラ【ＴＥＬ】０１１―３５１―３０００