2020年1月24日号掲載 積雪統計が開始された1961(昭和36)年以来、初めてといわれる記録的な雪不足が続いている。

積雪統計が開始された1961(昭和36)年以来、初めてといわれる記録的な雪不足が続いている。早朝、久しぶりに少しまとまった降雪のあった1月16日午前9時現在の積雪をみても、札幌市中央区18㎝(札幌管区気象台データ/平年比35%)。岩見沢25㎝(同34%)、旭川28㎝(同47%)、新篠津59㎝(同87%)、江別市30㎝(元江別土木事務所データ/過去5ヵ年平均の54%)――と、雪は極端に少ない。新篠津などは比較的多い方だが、たいがいの地域が平年の半分以下、30~50%程度しか積もっていないのが実情だ▼季節が寒入りしたわりには、積雪は異常ともいえる少なさだから、冬のイベントが中止になったり変更になったり関係者が四苦八苦する大変な状況。さっぽろ雪まつりも遠くから何とか雪をかき集めて開催しようと必死だ▼こんな年は“少雪”の影響で苦しい思いをしている人々が多いのではないか。道も歩きやすいし、雪かき作業がない分だけ楽だから、「ほんとに助かる」と喜ぶ人もいるのだが、その一方で、除排雪に関わる仕事が激減している。最低保証のある除排雪契約もあるが、それでまかなえる売り上げはごく一部で、「社員の給料は払わなければならないし、町内会なんかの除排雪仕事がなくなって…」と収入が減ったり、臨時雇用がなくなったり、雪のないスキー場など冬の観光地はもとより、除雪用具や除雪機、冬物衣料など防寒用品が売れ悩んだり…とにかく、少雪で市中に金が回らない。秋や降雪前に種まきする種類の小麦などをはじめ“雪のふとん”となる積雪が少なく土壌の凍結なども心配され、農業への影響も大きいほか、雪どけをあてにする、春以降の水不足の心配もある▼「一升マスは一升マス」と言うけれど、降る時はドンと降って、お金が回って暮らしも立つのが北国の経済。「数年前のように後半に降る冬もある。大変だけど、やっぱり降るものが降らないと、北海道の生活は成り立たない」と、まとまった雪を今か今かと待っている人も多い。ただ、気象庁が発表した1月11日~2月10日の1ヵ月予報は、全国的に気温が高くなり降雪も少なくなるというもの。日本気象協会によると2~3月も暖冬傾向が続く見込みだという▼オーストラリア全土をおおう大規模な森林火災をはじめ、世界中で頻発する異常気象への不安も強い。不景気に追い討ちをかけるだけでなさそうな、不気味な「暖冬」の影響が気にかかる…。