それにしても、この数年であれもこれもいつの間にかずいぶん値上げされたのだが、そうこうしているうちに、10月からは消費税が8%から10%にアップした。そして、身近ではJRの運賃が特に上がって、例えば、札幌駅新札幌駅は340円(+80円)、札幌駅江別駅540円(+90円)、野幌駅札幌駅440円(+80円)、大麻・森林公園・厚別各駅札幌駅340円(+80円)――気軽に街に出られなくなる状況なのだ▼消費税が上がるというのに、この国の人々はいたって鷹揚(おうよう)に構えていたように見える。テレビや新聞では、買い溜めするにはどんな商品がいいかとか、その場で食べれば10%だの持って帰れば8%だの、現金で払えばそのままだけれどスマホやカードで払えば何%か戻ってくるだの、そんなことを微に入り細にわたって、まるで消費税が上がるのを準備して待ってでもいるかのように、“喜々として”アナウンスし続けた▼なぜ、いま消費税アップなのか。社会保障制度のあり方はどうなっているのか、これでいいのか、金持ちほど優遇される結果になる消費税、所得が低いほど重くなる税金制度に問題はないのか、あるいは税金の使い方はこれでいいのか…といった、税金が高くなるのに向ける当然の論議が全くなされない、この国の言論機関、マスコミの多くはそんなテイタラクなのだ▼50年近く前、確か中曽根康弘氏だったか、週刊誌で「税金というものは羊の毛刈りと同じで、国民が痛みを感じないように刈り取ってしまうのがコツだ」などと得意に語っているのを読んで嫌な気持ちになったのを覚えているが、そんな緊張感どころか国民は羊以上に従順で、政府はやりたい放題。…と、待てよ、消費税アップ前の駆け込み消費もあまり見られないのは、痛み(痛税感)を感じるどころか、何だか「どうにでもなれ」的な“シラケ鳥”状態“無思考”状態ではないのか。考えてみれば、軽減税率なんかの複雑な仕組みでわざと煙に巻いたり、近所の中小商店や年寄りなど、世の中の流れに追いつけない弱い立場の人々はどうでもいいとでも言いたげなキャッシュレスとかの抱き合わせは、ずいぶん人(納税者)を馬鹿にしているのに…▼「何を言っても仕方がない」などとシラケ鳥を飛ばしているうちに、年金じゃないけれど、抜き差しならない状態になってしまうかもしれない。
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